目が原因のめまい 詳細
目といっても、めまいに関係するのは、視力などの問題ではなく「眼球の動き」になります。 この眼球の動きがきちんと行えないことが、めまいの原因になることがあります。
目がスムーズに動かないこともめまいの原因になる
なぜなら、眼球は平衡感覚と連動して動くようになっているからです。
これを前庭動眼反射(ぜんていどうがんはんしゃ)といいます。
普通に考えると、顔を左右などに動かすと目も顔と一緒に動きます。
すると、見ている画像が揺れるため、めまいを起こしやすい状態になります。
そこで、画像が揺れないようにしてめまいを起こしにくくするため、通常は自動的に顔と反対方向に目が動きます。
例えば、顔を左に向けると目は右に動きます。これで見ている画像が揺れなくなります。これができなくなると、めまいが起こりやすくなります。
詳しくは「4.平衡感覚・視覚・体の感覚の3つがうまく連動していないことが原因のめまい」で詳しくお伝えします。
顔が左に向いたら、目は右に動くことで、画像が揺れないのでめまいにならない。
この「前庭動眼反射」が、きちんとできるかどうかも重要なのですが、その前に、そもそもきちんと目が動くかどうかが大事になります。
目がしっかり動かなければ、前庭動眼反射の時にも目が動きにくくなり、画像が揺れてめまいを起こしてしまうのです。
眼球は、眼球を動かす筋肉とそれに指令を伝える神経がきちんと機能して初めて正常に動きます。
眼球を動かす主な筋肉は、1つの眼球で6つあり、指令を伝える神経は3つあります。
これらの筋肉や神経に機能の低下がみられると、眼球がうまく動かず、平衡感覚とうまく連動して動けないことによって、めまいになることがあります。
眼球の動く方向によって、使われる筋肉と神経が違います。 表や絵にすると以下のとおりです。
目の方向 | 使う筋肉 | 使う神経 |
上外方 | 上直筋 | 動眼神経 |
下外方 | 下直筋 | 動眼神経 |
内方 | 内直筋 | 動眼神経 |
外方 | 外直筋 | 外転神経 |
上内方 | 下斜筋 | 動眼神経 |
下内方 | 上斜筋 | 滑車神経 |
このように、眼球の動きが悪くなることでめまいが起きている場合は、これらを正常に治すことでめまいは改善します。
例えば、目が右上にスムーズに動かないことでめまいが起きている場合は、動くようにすることでめまいが改善していきます。
また、見ている画像が揺れたり、傾いたりすることでめまいを感じる場合も、目が原因のめまいになります。自分は揺れていないのに、画像が揺れたり傾いたりするため、めまいを感じたり気持ち悪くなったりします。
これは、眼球を動かす神経や筋肉の他に、見ている情報を脳に送り届けるまでの神経に問題が起きていることも考えられます。あるいは、脳の画像処理機能に問題があることもあります。
見ている画像が急に傾くようなめまいもある
また、右目と左目の焦点が合わずに物が二重に見える「複視(ふくし)」になっていることも、目が原因のめまいを起こします。
例えば、右目はA地点を見ているのに、左目の見ている場所はA地点より右に5センチずれているとします。
すると、右目から脳に送られてくる画像と、左目から脳に送られてくる画像が少しずれることになります。
すると、脳の中では景色が二重に見えるので、これをめまいと感じることもあります。
通常脳は、長い期間二重に見えている場合、どちらかの画像を無視することで二重に見えなくしています。
しかし、脳の機能が低下してしまうと、その時々で右目の画像を優先したり、左目の画像を優先したりして、見ているものが揺れているように感じてしまいます。
この場合、見えているものを脳が無視できなくなるので、車のワイパーなどで気持ち悪くなったりめまいを起こしたりすることもあります。
物が二重に見える複視もめまいの原因になることがある
全てのめまいに言えることですが、治りにくいめまいの場合、原因が一つではなく複数ある場合が多いのです。
目が原因のめまいでも、眼球の動きがスムーズに動かないことと、複視があることで物が二重に見えるというように、めまいの原因が複数ある場合があります。
また、平衡感覚や体の感覚が原因のめまいも絡んでいるかもしれませんので、下記にある他の機能もチェックする必要があります。
【神経の問題が原因のめまい】