東洋学的なめまいの原因
東洋医学は、人間を西洋医学とは違った見方をしています。陰陽五行説などは有名ですが、ここでは「気血水(きけつすい)」を用いてめまいを解説したいと思います。気血水とは、気・血・水の三つのことであります。
「気」とは、気落ちする・元気が出る・病は気から・などという言葉で分かる通り、「精神」などのことを指します。厳密のはもっと広い意味があり、エネルギーの元と思っていただいてもいいでしょう。「血」は、文字通り血液のことです。「水」とは体に含まれる水分全体を指します。
東洋医学や漢方では、この気血水が滞りなく全身を巡っていれば病気はしないと言われています。気が滞りなく流れていれば血も滞りなく流れます。すると当然水も滞りなく流れるため、気も滞りなく流れるというように、気血水はお互いに影響しあっているのです。流れる川の水は腐らないように、気血水が流れていれば、悪くなるところはないと言われています。
▼めまいは水毒症の症状
めまいは、気血水のうち水の流れが滞ってしまった状態になります。漢方や東洋医学的には「水毒症」と言います。水毒症は、水の流れが滞るだけでなく、水が体の中に遍在(ある部位にはたくさんあるけど、ある部位には少ない)している・体全体に水が多い・ということもあります。
西洋医学的にいっても、ぐるぐる回る回転性のめまいは、内耳にリンパ液が貯まることで起きます。メニエールや内耳炎・脳脊髄液の流出自律神経失調症などのめまいも、内耳に水(リンパ液)が貯まってめまいが起こるのです。
※回転性のめまいについては「回転性のめまいの原因」のページをご覧ください。
水毒症は、その他にも色々な症状の原因になります。むくみはいかにも水毒症という感じですが、その他にも関節に水毒が溜まるとリウマチ、気管に溜まると喘息、鼻で溜まると副鼻腔炎、というように水毒は色々な症状に関連しています。ちなみにめまいの時に吐き気があったり嘔吐をしやすいのは、胃の中の余分な水分を出しているのです。
また、東洋医学では耳と腎臓は関連し合っていると考えていますので、水毒=むくみ(腎臓の機能が低下)=めまいという図式は分かりやすいと思います。
また漢方では、メニエールなどのめまいには、苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)や五苓散(ゴレイサン)や澤瀉湯(タクシャトウ)などの、水分を体の外に出す作用のあるものを使います。
西洋医学的にも、利尿剤(水分をおしっこで出す作用がある)を血行を良くする薬と共に処方することはよくあります。
▼水毒症のめまい対策
水毒症は、体の中に余分な水分があることと、気血水(特に水)の流れが滞っていることでおこります。そのため、余分な水分を取らないように心がけましょう。特に冷たい水は体を冷やし、気血水の流れを滞らせてしまうので、水を飲む時は常温もしくはぬるま湯で飲むことをお勧めします。
またスポーツを頻繁に行う方、医師に水分をこまめに取るように言われた方以外は、頻繁に水を飲むのはやめましょう。確かに水は体にとって必要なものですが、「過ぎたるは及ばざるがごとし」です。水を取れば必ず排出されるように言われる方もいますが、それはあくまでも健康な人であり、気血水が滞った段階でこの定説は成り立ちません。
更に、気血水の流れを良くするために軽い運動や体操、マッサージや整体などを行うといいでしょう。
運動や整体の後は体から余分な水分が抜けるので、ぬるま湯などを飲むといいでしょう。水毒症の方は水分を取る前に水分を出すことが重要です。
※水毒症のめまい対策に有効な、体から水分を出す食べ物については「食べ物でめまいを解消-摂取した方がいいもの-」のページをご覧ください。